チーズ講座入門科第1回 Ⅰ

ヴァレンタインデーの昨日、2012年度のチーズ講座入門科第1回がスタートしました。
メンバーは飲食店関係者、ソムリエさん、中国茶師範、一般の主婦の方など多士済々。
チーズ好きが集結した教室は、初日から楽しい会話で盛り上がり時間を忘れるほど♪

入門科第1回のテーマは「チーズの歴史」

チーズの起源は今からおよそ6千年前、中央アジアやメソポタミア地域から始まったといわれています。
1万年前に牧畜が始まり、家畜から得られる大切な食糧かつ栄養源としての乳を保存するために
チーズが生まれました。

チーズ製造には乳酸菌凝乳酵素(レンネット)が必要です。
人類は長い時間の中でその二つを偶然に発見します。

偶蹄類・反芻動物の乳房やその付近および乳中には乳酸菌が多数生育していて、
人類は乳利用の中から自然に乳酸菌による発酵を体験します。

つまり、余ったミルクを放置していたら、ヨーグルト状のものが出来上がっていて
それを食べると酸味があり、美味しかった。さらに、それを籠などに入れて
水分を除去するとチーズが出来上がった、というわけです。

凝乳酵素は母牛のおっぱいだけを飲んでいる子牛の第4胃の中に存在します。
当時の厳しい生活の中で、例えば事故などにあって死んでしまった子牛は
すぐに解体されて食料になりましたが、
子牛の第4胃にはいつも不思議な白い塊がありました。

そのうちに人類は子牛の第4胃の中に乳を固める何かがあることを学習します。
これが凝乳酵素の発見です。

宗教上、牛を殺さないインドや殺生を禁じる仏教の影響が強い東洋では、
西洋で発達したチーズとは異なる独特のチーズが作られました。

インドのパニールは酸凝固、チベットのチュゴーは加熱凝固し天日干しされます。

このように様々な社会状況や宗教・気候風土によって、チーズは東西に伝播していきました。

ヨーロッパのチーズはトルコ、ギリシャを経てエトルリア人によって
イタリア半島にその製法がもたらされます。
そして、ローマ帝国のヨーロッパ侵攻によりチーズの製法はヨーロッパ中に広められます。
保存性と栄養価に優れたチーズは兵糧としてローマ軍が携行したからです。

5世紀に入ってゲルマン民族によりローマ帝国が崩壊すると
チーズは中世の修道院でワイン、ビールと共に三大発酵食品として
研究され大きく発達します。
チーズの製法はこの頃からほとんど変わらないといわれています。

18世紀イギリスの産業革命後、工場労働者が集中する地域では食糧としての
チーズの需要と生産が飛躍的に増大します。
そして、ヨーロッパを襲った大飢饉によって大量の移民が南北米大陸、
オセアニアなどへ流入し、その移民の手によって母国のチーズ作りが始まり、
チーズは世界中で製造されるようになり現在に至っています。

チェダーチーズは世界で最もたくさん生産されているチーズですが、
このような移民の歴史と背景があったからなのです。

日本では6世紀頃に朝鮮半島から乳を加熱して固形分を取りだした「蘇」が朝廷に献上されます。
栄養価の高い蘇はもっぱら貴族社会の間で珍重されますが、そのうち乳文化は廃れていきました。

現代のチーズは明治時代に北海道にチーズ工場ができてプロセスチーズの製造が開始されます。
高温多湿の日本ではナチュラルチーズよりもプロセスチーズの方が受け入れやすかったのですね。

近年のワインブームの影響で、ナチュラルチーズの製造が盛んになり、
現在では全国で100か所を超える工房があり、11月11日のチーズの日のイベントや、
隔年に行われるオールジャパン・ナチュラルチーズコンテストとを通して
国産チーズの品質向上と普及に努めています。

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