• カテゴリー別アーカイブ チーズ上級科
  • 上級科 第1回 Ⅲ

    トルタ・デル・カサール
    産地:スペイン・エストレマドゥーラ州
    特徴:朝鮮アザミのおしべを抽出した植物性レンネットを使用しているため 
        苦みを感じますが、この苦味が心地良いんです。
       見た目よりは柔らかく羊乳の甘いコクと酸味、ほろ苦さが入り混じって
       これぞ大人の味というんでしょうね。古漬けのような味わいも感じます。
       現地ではトロリと柔らかく仕上げたものが多いのですが、日本に入ってくるのは結構固めです。

    ペコリノ・トスカーノ・ブリッロ
    産地:イタリア・トスカーナ州
    特徴:濃いワイン色の表皮はキャンティに漬けこんで熟成させたからです。
       ワインのフルーティーな香りや羊乳の濃いミルクの香りが入り混じり、
       洗練された完璧な味わいを作り上げています。
      

    ラヴォール
    産地:フランス・オーヴェルニュ地方
    特徴:火山の噴火口を思わせるその形はとても個性的。
       トロワグロが絶賛したこのチーズは1990年代に誕生した新しいチーズです。
       作り手のパトリック・ボーモン氏の工房にお邪魔したのは2005年でした。
       ロックフォールを作る羊のラコーヌ種の無殺菌のミルクを使用、飼料は冬季は乾草で
       サイレージの禁止、夏季は牧草と放牧、昔の貯水池をカーヴに利用、動物性レンネットの使用など
       こだわりのチーズ作りから絶品のチーズが生まれます。

    薄切りのパンにチーズを載せ、さらにトマトをのせてトーストする食べ方は
    ボーモン氏に教えていただいたものてした。
    チーズって加熱するとさらにおいしくなるものだと、再認識させられます。


  • 上級科第1回 Ⅱ

    羊の出産が始まる冬季から春にかけては羊乳チーズの旬です。
    籠に入っている羊のお人形は オーストラリアのメリノウールでできています。
    可愛いでしょ! 羊年の娘のお部屋に飾ってあったのをちょと借りました(笑)

    羊乳チーズの歴史は古く、チーズが発祥した当時使われたミルクは
    羊乳か山羊乳だったと推定されます。
    羊や山羊は乾燥した気候、険しい山岳地帯、牧草が豊かでない土地ても生きていけるからです。

    また、乳質は水分が牛乳に比べて少なく、固形分が多いので歩留まりが良くチーズ製造に向いています。
    たんぱく質や脂肪分も豊富にあり、チーズはコクのある旨味の強い味わいとなります。

    ブロッチュ
    産地:フランス・コルシカ島
    特徴:春の時期しか作られない貴重なフレッシュタイプのホエーチーズです。
        見た目も食感もお豆腐みたい。ミルクの甘味が口の中に広がります。
        今日は、栗のハチミツをかけてみましたが、高級なデザートに変身!
        オリーブ油とブラックペッパーを振りかけたものも試食しましたがこれも絶品!
        甲乙つけ難い美味しさです。

    ハロミ 又は ハロウミ
    産地:キプロス
    特徴:何といっても食感です。キュッキュッという歯ごたえは蒲鉾みたいです。
       少し塩分が強くて後味にハーブの香りがするのは、ハーブを生地に混ぜ込んで
       いるから。パスタフィラータ製法で作られています。
     

    このチーズは加熱しても溶けないので焼いてみましたが、焼いた方が香りも良く
    より美味しく感じます。「フレンチトーストみたいな香りがする」とは生徒さんの感想。

    ブルー・デ・バスク
    産地:フランス・バスク地方
    特徴:羊乳のコクと青カビのバランスが素晴らしいチーズです。
        羊乳の青カビチーズといえばロックフォールですが、ブルーデバスクは塩分も控えめで
        山の素朴なブルーチーズという風情で、こちらの方に魅かれます。


  • チーズ講座 上級科第1回 Ⅰ

    チーズ上級科が昨日からスタートしました。
    入門科でチーズの基本を学んだ後、上級科では各国や特定の地域のチーズに焦点をあてて
    歴史的、地理的背景や文化にまで踏み込んでおいしいチーズを楽しむコースです。

    上級科第1回は 「スローフード運動について」と「羊乳チーズ特集」の2本立て

    近年、スローフードという言葉はもうすっかり定着していますが、
    スローフード運動とはそもそも、イタリア・ピエモンテ州の小さな村ブラで始まりました。
    ちなみに、ブラの名はDOPチーズの名前でもあります。

    ローマにマクドナルド1号店が誕生するということをきっかけに
    伝統的な食生活が脅かされるという危機感を抱いた人たちが集まり
    「食の正しい味を守る」という極めて単純明快なポリシーを持った運動として
    1986年、カルロ・ペトリーニ氏を会長にスタートしました。

    スローフード運動指針の中に「食の箱舟運動-アルカデルガスト」というものがあります。
    消えゆく恐れのある伝統的な食材や料理、食品、酒(ワイン)を守る目的で
    300品目を保護すべきものに指定しましたが、驚くべきことに
    100品目がチーズでした。

    チーズこそ、スローフードの代表ですね!

    日本でも「食育」が盛んに行われるようになりました。
    特に 日本の豊かな食文化を子どもたちに伝えていくために、
    グルメではなく正しい味を理解させること。

    三国清三氏も熱心に取り組んでおられるお一人ですが
    人間の味覚は小学生までに確立するということを
    あるTV番組で話していらっしゃいました。

    甘味だけのお子様向けの味付けではなく
    「苦味」「酸味」「辛味」「旨味」「エグ味」「薄味」を
    経験させて食の複雑性と豊饒性を教育すること。

    ちなみに、我が家では4人も子どもがいたので子育てが大変で
    いちいち子ども用に味付けを変えるということはできなかったので
    ずっと大人と同じ食事を通しましたが、間違っていなかったのですね。(ほっ)

    日本には素晴らしい食の伝統文化があり、わざわざスローフードと言わなくても
    食そのものがスローフードを体現しています。
    味噌、醤油、酒などの発酵食品や沖縄の長寿食など
    しかし、沖縄の長寿の伝統も近年は破られつつあるようです。

    テレビでは1日中グルメ番組が垂れ流されていますが、
    「美味しいものを食べる」から「美味しく食べる工夫をすること」へ
    転換していくことが大切なのです。

    ファーストフードの代表格・ハンバーガーが誕生したのは
    20世紀の幕開けの1900年アメリカ・コネチカット州。
    その8年後に大量生産方式で製造された初の大衆車フォードT型が
    販売され、モータリゼーションの波に乗ってハンバーガースタンドができ
    ファーストフードは爆発的な広がりをみせます。

    スピード化と大量生産・大量消費による弊害を抱えながら
    20世紀最後の時期にスローフード運動が起こったということは
    自然が「ゆっくり考えよう!」と呼びかけているのではないでしょうか。

    冒頭の写真は 日本の伝統的な調理法・昆布締めです。